由緒ある紀尾井ホールでの「明日への扉」シリーズに出演させて頂けることになり、大変光栄です。
美しい音響を誇る、日本有数のホールでのリサイタルということで、バロックから近代までの幅広い時代からその響きを生かした作品を含めたプログラムを組ませて頂きました。
私は昨秋よりドイツの音楽大学に留学しておりまして、そこで初めて古楽器(チェンバロやフォルテピアノ)のレッスンを受けるようになり、実際の響きに触れることで、バッハをはじめとしたバロック時代の音楽を益々魅力的に感じるようになっております。
紀尾井ホールの響きは、バロック作品と特に相性が良いと以前から感じておりまして、今回お話を頂いた際に、『前半には、是非ともバロック時代の作品を!』というアイディアが真っ先に浮かんだのです。
特に、フランヌ組曲への、またリサイタル全体への誘いとして配置した１曲目の「マルチェッロのアダージョ」と後半のリストは是非紀尾井ホールの『丸みある』音響で聴いて頂きたい作品です。２曲揃っての演奏は、今回のリサイタルが初めてとなります。また、私自身による編曲のフォーレの歌曲も、楽しんで頂けましたら嬉しいです。
スケールが大きく、ダイナミックな表現が要求される作品と、緻密かつ繊細な作品。ピアノ音楽の歴史を一人でも多くのお客様と共有することが出来ましたら幸いです。
阪田知樹
