(C) Tessa Posthuma de Boer
マクシム・エメリャニチェフ Maxim Emelyanychev, keyboard
1988年、ロシア生まれ。ニジニ・ノヴロゴロド音楽院で指揮を学んだ後、モスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーに師事、フォルテピアノとハープシコードをマリア・ウスペンスカヤに学んだ。12歳で指揮者デビューし、すぐさまロシア国内のいくつもの国際的なバロック楽団やオーケストラから指揮者として招かれるようになった。その後2013年、ピリオド・オーケストラ「イル・ポモドーロ」とニジニ・ノヴゴロド・ソロイスツ室内管弦楽団の首席指揮者に就任。
2014年、セビージャのマエストランサ劇場で演奏したモーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》が絶賛され、ヨーロッパ各地のオーケストラへの客演が相次ぐようになった。
2018年3月、キャンセルしたティチアーティの代役として急遽スコットランド室内管でシューベルト交響曲第8番を指揮。この大成功により同室内管は翌19年9月から彼を首席指揮者に招くことを決定、公演の2か月後の5月末に早くも発表している。さらに首席指揮者としての就任初日に、その契約を2025年まで延長した。
以後、東京交響楽団、ロイヤル・フィル、ベルリン・コンツェルトハウス管、エイジ・オブ・インライトゥンメント管、パリ管、アトランタ響、ロンドン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ベルリン・ドイツ響、エネスク音楽祭、BBCプロムス、ドゥブロヴニク夏音楽祭、エディンバラ国際音楽祭、ザルツブルク音楽祭、オペラでもテアトロ・レアル、英国ロイヤル・オペラ、ジュネーヴ大劇場など続々とデビューを飾り、若い世代の最も才能のある指揮者として認められている。
2022/23年には、スコットランド室内管との米国ツアーの他、ベルリン・フィル、新日本フィル、関西フィル、ベルゲン・フィル、ミュンヘン・フィル、フィンランド放送響、チェコ・フィル、ロッテルダム・フィルへの指揮デビューが予定されている。
レコーディングも活発で、2012年に録音したクレンティス指揮ペルミ国立歌劇場管弦楽団(現在のムジカ・エテルナ)《フィガロの結婚》(ソニー・クラシカル)に通奏低音(フォルテピアノ)奏者として参加、本盤は翌13年のゴールデン・マスク賞を受賞した。
イル・ポモドーロとは、デッカからマックス・エマヌエル・ツェンチッチをフィーチャーしたナポリ楽派のアリア集を、グラモフォンからはファジョーリがタイトルロールのヘンデル《セルセ》、ワーナー/エラートではリカルド・ミナーシとのハイドン交響曲・協奏曲集やジョイス・ディドナートとの『戦争と平和の中で〜音楽のハーモニー(バロック・アリア集)』(2017年グラモフォン賞リサイタル部門受賞)とその続編『エデン』、カウンターテナーのヤクブ・オルリンスキと宗教的アリア集『AnimaSacra』およびバロック・オペラ・アリア集『Facced’amore』、ディドナートがタイトルロールを担当したヘンデル《アグリッピーナ》(2020年グラモフォン誌オペラ部門賞受賞)など多数発表している。
2019年にはスコットランド室内管との初CDとして、同管首席指揮者就任のきっかけとなったシューベルト交響曲第8番をリン・レコードからリリース。Apartéレーベルからは、2018年にニジニ・ノヴゴロド・ソロイスツ室内管とのベートーヴェン交響曲第3番とブラームス《ハイドン変奏曲》のCDをリリース。同年、初のソロアルバムとしてフォルテピアノによるモーツァルト・ソナタ集をリリースし、2018年にクラシカ誌のChocと19年に国際クラシック音楽賞(ICMA)を受賞している。2021年にはアイレン・プリチンと共に収録したブラームスのヴァイオリン・ソナタをリリースした。
2019年、批評家協会の音楽部門でヤング・タレント賞、同年、国際オペラ賞の新人部門を受賞。
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