クァルテットの饗宴2019 ドーリック弦楽四重奏団
ドーリック弦楽四重奏団 インタビュー後編
前編はこちらからお読みいただけます。
▶インタビュー前編
▶インタビュー前編
10月31日開催のクァルテットの饗宴2019 ドーリック弦楽四重奏団 公演に向けて、メンバーにお話を伺いました。
――― 2008年の大阪国際室内楽コンクール以来、11年ぶりの来日となります。この間に弦楽四重奏団としてどのような成長、変化を遂げられたと思っていらっしゃいますか?
この11年の間に、私たち四重奏団は大きく変化を遂げました。まず結成時からメンバーが2人代わりました。新たにイン・シュエとエレーヌ・クレマンの2人が加わり、音楽的発想においても大きく成長し、広がりを持つことができました。また、以前に比べ自信も付いてきましたし、解釈においてもより大胆なアプローチができるようになりました。何よりも結成から今日まで大変多くの経験を積むことができました。私たちは数多くの作品を演奏し、CDも多く録音しました。こうした経験が私たちのレベルを上げ、さらには音楽作品のキャラクターや感情表現をより一層掘り下げていく上での礎、励ましとなっています。
―――皆さんはハイドンの演奏で定評があります。ハイドンはやはり特別な作曲家ですか?
もちろん! ハイドンは大好きです。彼の音楽は私たちにたくさんのことを語ってくれます。彼の弦楽四重奏曲の持つ多様性と深遠さに魅せられている、と言ってもよいでしょう。とてもふざけたものから、1人1人の心の深いところに届くものまで、様々な作品が存在します。彼の四重奏曲は、グループで演奏しながらも清澄な音色を出すことを求めるため、私たちは一層演奏に磨きをかけなくてはなりません。音楽的にも、技術的にも、ハイドンの音楽には隠れるところがなく、ごまかしはききません。ハイドンの音楽の魅力は尽きることがなく、これからも新たな四重奏曲と出会っていきたいと考えています。
―――ハイドン、初期ロマン派、そして英国の音楽作品を録音してきましたが、モーツァルトやベートーヴェン作品の録音予定はございますか。
モーツァルトの最後の3つの四重奏曲を来年録音する予定です。ベートーヴェンのレコーディングも準備している状況です。ですから、制作に入る前に極力ベートーヴェン作品を演奏する機会をもうけたいとも考えているのです。2020年半ばにレコーディングを控えていますが、今は、とにかく少しでも多くの時間をこれらの作品と関わって過ごしたい、演奏したい、そしてもっともっとそれらについて学びたい、と言うのが正直な気持ちです。
―――今後のご予定、目標としていることがありましたら、お教えください。
現在の、夢見ているような毎日、つまり偉大な音楽作品の数々を世界中のコンサートホールで演奏するような毎日を続けていきたいですね。偉大な芸術作品の数々と共に時を過ごすことで、私たちは常にインスピレーションを得ています。そして没後200年に当たる2027年のベートーヴェンの全曲チクルスも視野に入っています。さらに教えることにも情熱を傾けています。私たちは全員、ロンドン王立音楽院で教鞭をとっていますが、夢は、いつか弦楽四重奏のための特別な学校を作ることなのです。